習い事

【生け花の基本】代表的な華道の流派7つの特徴や違い

華道

四季折々の草花や樹枝を器に生け、鑑賞する「華道」。そんな日本文化の一角を担う華道を嗜むことに、一度は憧れた方も少なくはないのではないでしょうか?

華道(生け花)の流派とは?

華道を学ぶ際にまず大切なのが流派を選ぶこと。

華道の流派とは「家元」や「宗家」を中心に構成されているグループのようなもので、それぞれの流儀を伝承していく組織のことです。それぞれの流派の違いを知り自分が惹かれる流派を選ぶと良いでしょう。

華道の家元・宗家とは

では、流派の中心となる「家元」「宗家」とはどのようなものなのでしょうか。

家元

家元とは華道の流派において最高権威を持っている人を指す言葉です。つまり流派のトップでなおかつ責任者という存在だと言えます。

一般的に、家元は血縁による世襲制で受け継がれることが多く、自分達の流儀や伝統を次の世代へ引き継いでいきます。しかし、最近では婿を迎え入れるケースや、優秀な門人を養子にしたり、また女性を家元としてたてたりと、様々なケースが増えてきているようです。また、免状や資格を与えるというのも家元の大きな役割として挙げられます。弟子や門人は家元から流儀や技術・伝統を学び、認められれば免状や資格などが与えられます。

宗家

宗家とは、家元以外に流派の中心となる家のことを表します。

長年家父長制を用いている日本において「宗家」=「一族の当主」を意味するため、「宗家」の他の呼び方として当主本家とも呼ばれることがあります。華道の流派においては、伝統や流儀を伝承するために家元に次いで重要な役割を担っていると言えるでしょう。

華道の三大流派

長い歴史を持つ華道には他にも300以上の流派が存在すると言われていますが、その中でも特に有名なのが「三大流派」と呼ばれる流派です。それぞれに特色があるので一つずつ見ていきたいと思います。

池坊

日本で最も長い歴史を持つ流派であり、「池坊の歴史は生け花の歴史」とも言われるほど。その歴史は550年を超えておりすべての生け花の源流をたどれば池坊に行き着くと言っても過言ではありません。また、池坊は華道そのものを表す流派であるため、厳密には「流」をつけずに呼びます。

技法は「立花(りっか)」「生花(しょうか)」「自由花(じゆうか)」の三つを用いています。

立花

室町時代に生まれた最古の技法で大自然の風景を層僕により表現する技法

生花

江戸時代に確立。3種類までの花を用いて草木が生きる力強さを表現する技法。

自由花

自由に活ける技法。

これら三つの技法とともに、真・副といった7つもしくは9つのそれぞれ意味合いをもつ役枝を組み合わせ、花を活けていきます。伝統を基盤としつつ、時代に合わせて自由な様式も取り入れていることが特徴です。

草月流

草月流は堅苦しい形式にとらわれず自由に花を活けることができるのが特徴です。石や金属を取り入れるなど、これまでの華道の常識を覆す作品もあります。

このように自分の感じたまま自由に活けることができるため、ホテルなどの会場に飾る花を生けるなど、花を扱う仕事に就きたい方にもおすすめです。

小原流

さて、三大流派の最後を飾るのは「小原流」です。この流派は「盛花」というスタイルを特徴としています。これは日本に西洋文化が流れ込んできた明治時代に華道に西洋の花を取り入れようとしたものの、日本の伝統的な華道と西洋の花は合わないことに気づき提案されたものです。

小原流はこの「盛花」という技術を用い他の流派よりもいち早く西洋の花を取り入れ、洋館に合う生花を生み出してきました。また、剣山を使用するようになったのも小原流が最初とされています。

様々な花を用いてアレンジを楽しむことができるため、日々の生活に花を取り入れたいという方におすすめです。

その他の有名な華道の流派

古流

古流は季節の花や葉を使い、「三才型」と呼ばれる高さのある生花をするのが特徴です。この「三才型」とは天、地、人を表した不等辺三角形の形を作り上げるダイナミックかつ繊細なスタイルです。

嵯峨御流

平安時代に生まれた後嵯峨流は大きく「伝承花」「心粧花」の2つの特徴に分けることができます。「伝承花」は古くから伝わってきた伝統を重んじる生け方、「心粧花」は植物の美しさを生かしながら、活ける人の思いを尊重し表現する生け方です。

冠婚葬祭などのフォーマルな場を飾る生け方も学べるため、知識として役に立ちます。また、嵯峨御流は、初伝、中伝、奥伝などの階級があるため初心者の方や久しぶりに華道をされる方にもおすすめです。

遠州

遠州の流祖は日本三大茶人の一人である小堀遠州です。

美的センスに優れカリスマ的存在であった遠州は日本古来の「わびさび」にとらわれず、新しい美意識である「綺麗さび」を生み出しました。

この流派の代表的な技法として、生花で花材を曲げる「くさび撓め(くさびだめ)」というものがあります。また、高度な技術で水の流れを表現する「曲生け」と呼ばれる技法は圧巻です。高度な技術を用いて花を活けたい方におすすめです。

未生流

未生流の特徴は美しさの黄金比の伝承です。植物をありのままではなく人の手を加えることで本来の美しさが引き出されると考え、幾何学的理論を用いた造形美に儒教などの東洋哲学を加えた伝統的な流派です。

感覚ではなく計算によって導き出された比率に則り、正確に花を生けていきたい方におすすめです。

龍生派

龍生派は池坊から分かれてできた流派です。

入門するとまず自由花から始まり、その後生花、立華へと進んでいきます。大きな特徴としては伝統に基づく「古典華」と形式のない「自由花」の2つが挙げられます。

固定概念にとらわれないため、柔軟にチャレンジしたい方におすすめです。

華道を習うにはどうすればいい?

生け花自体はお家でも楽しめるものですが、初心者の方や作法や技術をしっかり学びたいという方は生花教室に通うのがおすすめです。

教室によって開講時間やペースなどが違うので自分に合った教室を見つけてみると良いでしょう。

華道の習い事にかかる費用

教室によってもちろん差はありますが、費用は一回のお稽古につき1500-3000円程度、頻度は月2回-毎週(月4回)のところが多いようです。

また、このお稽古代以外にも花材費がかかるので注意しましょう。(教室によっては花材費込みでお月謝としているところもあるようです。)

華道を習うのに必要な物

生け花

華道を始める際、基本的に必要な道具は花ばさみ、花合羽・花袋です。

花ばさみ…花を切る際に必要な専用のはさみ

花合羽、花袋…稽古終わりに花を持ち帰る花包みのこと

お花や花器(花を活ける際の器)、剣山などは稽古場で用意されてる場合がほとんどですが念の為事前に確認を取ると安心でしょう。また、流派や教室によってはテキストが必要な場合もあります。

華道は作法も知識も身につくため、何か学んでみたいという方や伝統文化に触れてみたいという方にとてもおすすめです。ぜひ自分に合った流派や教室を見つけ足を運んでみてください。